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40〜50代のフリーランスにとって、iDeCoは老後の資産形成に役立つ制度です。しかし、iDeCoと年末調整の関係や手続き方法が理解できていないと、制度をスムーズに利用できません。この記事では、iDeCoと年末調整の基礎知識や手続き方法、注意点を詳しく解説します。
記事を読めば、iDeCoの税制メリットを最大限に活用し、年末調整がスムーズに行えます。iDeCoは年末調整で所得控除が受けられる税制優遇制度です。掛金が全額所得控除の対象となるため、節税効果が期待できます。適切に手続きをして、大きな税制メリットを得ましょう。
iDeCoと年末調整の基礎知識

iDeCoと年末調整は、フリーランスの資産形成と節税には欠かせません。iDeCoと年末調整の基礎知識として、以下の2点に分けて解説します。
- iDeCoとは私的年金制度の一つ
- 年末調整とは所得税の過不足を精算する手続き
iDeCoとは私的年金制度の一つ
iDeCoとは個人型確定拠出年金の略称で、私的年金制度の一つです。自分で掛金を拠出し、運用して老後の資産を形成できます。2017年1月から加入対象者が拡大され、原則60歳未満の現役世代は、加入可能になりました。会社員からフリーランスになった方にとっても、老後の資産形成に役立つ制度です。
iDeCoの特徴は、以下のとおりです。
- 掛金が全額所得控除の対象
- 運用益が非課税
- 受け取り時に税制優遇
- 加入者自身が運用商品を選択
- 原則60歳から受け取り開始
iDeCoを活用すると自分のライフプランに合わせて、老後の資産を形成できます。掛金の上限額は、職業や加入する年金制度によって異なる点には注意が必要です。申し込み前に上限額や制度内容を確認し、自身の資産計画に合っているか検討してから申し込みましょう。申し込みは金融機関や証券会社などでできます。
» iDeCoのメリットとデメリット、始め方を解説
年末調整とは所得税の過不足を精算する手続き

年末調整とは、毎年12月に行われる1年間の所得税の過不足を精算する手続きです。源泉徴収された所得税と実際の税額の差を調整し、各種控除を適用して過払い分は還付、不足分は追加徴収されます。年末調整のメリットには、従業員の負担軽減や適切な税金の納付などがあります。
年末調整は給与支払者(会社)が行うため、給与所得者(従業員)は確定申告をする必要がありません。年の中途で退職した方や、給与以外の所得が20万円を超える方は、確定申告が必要なので注意しましょう。
iDeCoと年末調整の関係
iDeCoのメリットでも大きいのが、年末調整で節税できる点です。iDeCoの掛金はすべて「小規模企業共済等掛金控除」に該当するため、課税所得が減少し、所得税が軽減されます。フリーランスは年末調整の対象外のため、確定申告で所得控除を受ける必要があります。
iDeCoと企業型DCを併用している場合は、掛金の合計額が所得控除の対象です。所得控除の上限額は、年間40万円(2023年現在)なので注意しましょう。iDeCoは税制面でもメリットがあるため、老後の資産形成を考えるうえで有効な選択肢の一つです。
iDeCoは年末調整で所得控除が受けられる

iDeCoの年末調整における所得控除額の計算方法と、節税額の例を解説します。
iDeCoの年末調整での所得控除額の計算方法
年末調整において、iDeCoの掛金はすべて所得控除の対象になります。計算手順は以下のとおりです。
- 年間の掛金総額を計算
- 控除額の上限と比較
- 上限額以下であれば、全額控除
掛金の上限額は年齢や職業によって異なります。会社員の場合は月額23,000円が上限です。上限を超えない範囲で掛金を設定すれば、すべての掛金を所得控除の対象にできます。所得控除を受けることで、所得税と住民税の両方で税制メリットが得られます。
年末調整におけるiDeCoの所得控除額は、掛金を支払った分だけ所得が減ると考えましょう。
年末調整での節税額の例
年末調整での所得控除は所得税率に応じて効果が変わるため、高所得者ほど節税効果が大きくなります。iDeCoの掛金を月額23,000円にした場合の節税額を、以下の表に年収別でまとめました。
年収 | 節税額(年間) |
300万円 | 約13,800円 |
500万円 | 約23,000円 |
700万円 | 約32,200円 |
1,000万円 | 約46,000円 |
表の金額は所得税のみの節税効果です。実際には住民税も含めるので、さらに節税効果は向上します。節税に悩んでいる方は、iDeCoの活用を検討しましょう。
iDeCoの年末調整に必要な書類

iDeCoの年末調整に必要な主な書類は、以下のとおりです。
- 小規模企業共済等掛金払込証明書
- 給与所得者の保険料控除申告書
小規模企業共済等掛金払込証明書
小規模企業共済等掛金払込証明書は、iDeCoの掛金額を証明する書類です。年末調整時に必要で、毎年11月中旬〜12月上旬にかけて加入者へ自動的に送付されます。証明書には、加入者の氏名や住所、1年間の掛金総額が記載されています。紛失した場合は再発行が可能です。
再発行を希望する場合は、国民年金基金連合会または運営管理機関に依頼しましょう。最近では電子データで発行できる場合もあるので、紛失リスクを減らしたい方にはおすすめです。年末調整の際には、小規模企業共済等掛金払込証明書と保険料控除申告書を一緒に勤務先へ提出します。
確定申告する場合も、小規模企業共済等掛金払込証明書は使用できます。iDeCoの税制メリットを受けるためにも適切に保管し、必要なときに提出できるよう準備しておきましょう。
給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書は、iDeCoの掛金控除を受けるために必要な書類です。会社から従業員に配布されるので、配布された方は慎重に記入しましょう。申告書の提出時期は、毎年10〜11月頃が一般的です。会社が指定する期日までに提出してください。記入ミスや提出忘れには注意が必要です。
ミスがあると、iDeCoの税制メリットを受けられなくなる可能性があります。iDeCoの税制メリットを受けるには正確に記入し、確実に提出できるよう心がけることが大切です。
iDeCoの年末調整の手順

iDeCoの年末調整の手順は以下のとおりです。
- 証明書の受け取り
- 申告書の記入
- 書類の提出
証明書の受け取り
「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、通常11月中旬〜12月上旬にかけて運営管理機関から郵送されます。証明書には、1〜12月までの掛金合計額が記載されています。証明書に記載された情報は、年末調整の際に必要となるので、大切に保管してください。証明書が届かない場合は、運営管理機関に問い合わせましょう。
証明書を紛失した場合は、再発行を依頼する必要があります。最近では、オンラインで証明書をダウンロードできる運営管理機関もあります。書類の紛失リスクが不安な方におすすめのサービスです。証明書を受け取ったら、間違いがないか内容をよく確認しましょう。
» iDeCoの控除証明書とは?取得方法をわかりやすく解説!
申告書の記入

申告書を記入する際の注意点は、以下のとおりです。
- iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」欄に記入
- 払込証明書に記載された金額を転記
- 証明書を添付
- 控除額の上限は他制度と合算して年間40万円
- 払込証明書の内容を転記
正確に記入することで、適切な所得控除を受けられます。記入が終わったら、記入漏れや誤記がないか確認しましょう。確認後は、会社が指定する期限までに提出してください。期限を守ることで、確実に所得控除を受けられます。
書類の提出
必要な書類をすべてそろえたら、提出の準備は完了です。記入した内容に間違いがないか、もう一度確認しましょう。特に数字や日付は注意深くチェックしてください。確認が済んだら、勤務先の担当部署へ期限内に提出します。提出方法は会社によって異なるので、事前に調べておくと安心です。
郵送やメール、直接持参など、指定された方法で提出してください。確認が必要になった際に役立つので、控えは安全な場所に保管し、すぐに取り出せるようにしましょう。
iDeCoの年末調整をする際の注意点

iDeCoの年末調整をする際の注意点は、以下のとおりです。
- 書類を紛失しないようにする
- 提出期限を守る
書類を紛失しないようにする
書類を紛失すると、所得控除を受けられなくなる可能性があります。書類の紛失を防ぐ方法は、以下のとおりです。
- 専用ファイルやフォルダに保管
- 書類のデジタル化・バックアップ
- 受け取り後の即時保管
- 保管場所のメモ
- 重要書類リストの作成と確認
各方法を組み合わせることで、書類の紛失リスクを大幅に減らせます。万が一紛失した場合は、すぐに発行元に再発行を依頼してください。書類管理を確実に行うことで、年末調整をスムーズに行えます。自分に合った管理方法を見つけて、紛失のリスクを最小限に抑えましょう。
提出期限を守る
期限内に書類を提出できないと税金の精算が遅れ、控除を受けられなくなる可能性があります。提出期限を守るために、以下の方法が役立ちます。
- リマインダーの設定
- 早めの書類準備
- 速やかな提出
もし提出が遅れそうな場合は、早めに担当者に連絡することが大切です。期限後の提出でも、次年度の確定申告で対応できる場合があるので、あきらめずに対応しましょう。提出期限を守るとスムーズに年末調整手続きができ、確実に税制優遇を受けられます。
iDeCoのように所得控除が大きい制度では、重要なポイントです。
» 上手に活用!iDeCoの確定申告の手続き方法と税制メリット
» iDeCoの年末調整の必要性と間に合わないときの対処法
iDeCoの税制メリット

iDeCoの税制メリットは、以下のとおりです。
- 掛金が全額所得控除になる
- 運用益が非課税になる
- 受け取り時に税制優遇を受けられる
掛金が全額所得控除になる
iDeCoの掛金は、すべて所得控除の対象になります。年間最大40万円まで控除を受けられますが、控除金額は年収や加入時期によって変わる場合があるので注意しましょう。控除の対象になるのは、所得税と住民税の両方です。iDeCoの掛金は、給与所得控除や社会保険料控除とは別枠で適用されます。
他の年金制度(企業年金など)と併用しても全額控除の対象です。自営業者や専業主婦も、確定申告で控除を受けられます。控除額が大きいほど、節税効果も大きくなります。iDeCoは老後の資産形成だけでなく、現役時代の効果的な税金対策です。
運用益が非課税になる

通常の金融商品では運用益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは税金がかかりません。基本的に利子や配当、譲渡益などの運用益が非課税となります。非課税によって、より多くの資金を再投資できるのがiDeCoの特徴です。
20年間運用した場合、通常の金融商品と比べてiDeCoの方が1.5倍以上の運用益になるケースもあります。長期間投資を続けるほど運用のメリットが大きくなるため、フリーランスの老後資金作りに大きく役立ちます。長期的な視点で資産形成を考える際は、iDeCoの活用を検討しましょう。
受け取り時に税制優遇を受けられる
iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得になり、優遇税制が適用されます。年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用されるため、所得税を軽減できます。より多くの資金を手元に残すなら、特別法人税が非課税になる60歳以降で受け取るのが効果的です。
受け取り方法を一時金と年金で組み合わせることで、さらなる税制優遇を受けられます。iDeCoは受け取り時にも大きな税制メリットがあり、老後の資金計画に役立ちます。
» iDeCoは受け取り方が重要!最適な選び方を解説
まとめ

iDeCoは、40〜50代フリーランスにとって魅力的な私的年金制度です。年末調整で所得控除が受けられるため、節税効果が期待できます。iDeCoの税制メリットは大きく、掛金の全額所得控除や運用益の非課税、受け取り時の税制優遇などが挙げられます。
年末調整では、小規模企業共済等掛金払込証明書と給与所得者の保険料控除申告書が必要です。調整自体も証明書の受け取りと申告書の記入、会社への提出だけでできるので積極的に利用しましょう。書類を紛失したり、提出期限を過ぎたりすると、税制メリットが受けられない可能性があるので注意が必要です。
iDeCoの年末調整を適切にすると、確実に税制メリットを受けられます。将来の資産形成のために、正しい年末調整の手続きや制度内容の把握が大切です。