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「老後の資金が心配だけど、どうやって準備したらいいんだろう…」と思っている人は多いです。
老後のお金を確保するための方法としてiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。iDeCoは自分で積み立てて運用する年金制度です。
この記事では、iDeCoを始めるために必要な基礎知識とメリット・デメリットを解説します。記事を読めば、iDeCoの基本を理解でき、老後の資金準備を始めるための具体的な方法がわかります。iDeCoを活用して効率的に老後資金を準備を始めましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、20歳以上の国民年金被保険者であれば誰でも加入できる年金制度です。個人が自ら投資運用先を選んで毎月一定額の掛金を支払い、個人で年金を積み立てられます。
iDeCoとNISAの違い
iDeCoとNISAの違いは、主に投資目的と税制優遇の内容です。目的と制度の違いから加入資格や手数料、引き出すときの条件にも違いが出てきます。
iDeCoとNISAに共通するのは投資の運用益が非課税となる点です。一般の投資では運用益にかかる税(運用益の約20%)がiDeCoやNISAでは非課税になります。
下記にiDeCoとNISAの特徴をまとめました。
項目 | iDeCo | NISA |
投資目的 | 老後の資金を作るため | 投資を奨励するため |
加入資格 | 日本国内に居住している 20歳以上60歳未満である 公的年金制度に加入している | 18歳以上である |
投資対象商品 | 元本確保型商品や一部の投資信託に限られる | 株式、投資信託、ETFなど幅広い商品に投資できる |
税制優遇 | 掛金は所得控除の対象 運用益は非課税 | 投資額は控除対象外 運用益は非課税 |
手数料 | 口座管理手数料 | なし |
流動性 | 原則60歳まで引き出すことができない | いつでも引き出せる |
iDeCoの最大の特徴は所得税と住民税の軽減効果です。毎月掛金を支払うことで収入から掛金分が控除され、所得が減少した分だけ税負担が軽くなります。NISAには控除はありませんが、いつでも引き出せるため資金の流動性が高いです。
iDeCoは老後の資金を確実に確保するため、原則として60歳まで引き出せない特徴があります。緊急時に資金が必要な場合には不便です。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは以下の4つです。
- 所得税・住民税の節税効果を得られる
- 運用益が非課税になる
- 受取時に税制優遇を受けられる
- 転職・退職しても持ち運びができる
所得税・住民税の節税効果を得られる
iDeCoに加入すると掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税の節税効果が得られます。
年収が高い人ほど節税効果は大きいです。高所得者ほど所得税や住民税の負担額は上がるため、控除によって課税所得を減らした分、所得税や住民税の負担が減ります。
運用益が非課税になる
通常の投資では得た利益に対して20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは税金が免除されます。
長期的な資産運用をする場合は特に、非課税のメリットは大きいです。配当金や利息などの収益も非課税となるため、運用益がすべて手元に残り、複利を利用して効率的に資産を増やせます。定期預金の利息も非課税の対象です。
受取時に税制優遇を受けられる
受取時にも税制優遇を受けることが可能です。一時金で受け取る場合と、年金で分割して受け取る場合は控除の内容が異なります。一時金として受け取る場合には「退職所得控除」です。年金として受け取る場合には「公的年金等控除」が適用されます。以下の違いがあります。
- 退職所得控除
- 退職金と同じ扱いを受けることを意味し、長期間にわたり積み立てた資金を一括で受け取る際の税負担を軽減可能です。長く働いているほど控除額が増えるのが特徴です。
- 公的年金等控除
- 公的年金と同じ扱いを受けることを意味し、毎年の年金受給額に対して一定額の控除が認められます。一度に大きな金額を受け取るのではなく、定期的に少額ずつ受け取ることで税負担を分散できます。
一部を一時金として受け取り、残りを年金形式で受け取ることも可能です。併用することで一時金と年金のそれぞれの税制優遇を最大限に活用できます。
転職・退職しても持ち運びができる
iDeCoは転職や退職しても持ち運びが可能です。ひとつの職場に縛られることなく自分の資産を持ち続け、転職先でもiDeCoの運用を続けられます。
転職・退職時にiDeCoは以下のように扱えます。
- 転職後も現在の運用商品をそのまま移行可能
- 新しい職場で企業型DCに移管可能
- 退職後も個人型として運用継続可能
iDeCoの仕組み自体が個人に紐づいているため、職場が変わっても基本的には同じ条件で運用が可能です。退職してしばらく働かない期間があっても、個人型として続けられるため、資産を止めずに運用を継続できます。転職や退職に伴い口座を移管する場合、移管手続きと手数料が必要です。
iDeCoのデメリット
iDeCoには4つのデメリットがあります。
- 原則60歳まで引き出せない
- 価格変動・元本割れリスクがある
- 各種手数料がかかる
- 運用知識が必要になる
原則60歳まで引き出せない
iDeCoの最大のデメリットは、原則として60歳までお金を引き出せないことです。長期的な資産形成を目的としているため、緊急時でも資金を引き出せずに不便を感じます。
緊急時の資金は別で積み立てるなど、他の資金とバランスを取った運用が必要です。60歳以降からいつでも受け取りが可能になるため、老後の生活資金として利用できます。
価格変動・元本割れのリスクがある
iDeCoで運用する商品の一部は市場の動向により価格が変動します。特に株式や投資信託などのリスク資産では、元本割れのリスクが高いです。リーマンショックやコロナショックのような大規模な経済イベントでは、投資信託や株式の価格が急激に変動しやすいです。資産が元本を下回るリスクが生じます。
短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な運用を続けるのが大切です。元本確保型の商品でも手数料などのコストが影響して元本割れする場合があるので注意しましょう。
» iDeCoが元本割れする原因と対処法
各種手数料がかかる
iDeCoでは加入時の初期手数料や運用中の口座管理手数料などの手数料がかかります。手数料とはいえ積み重ねで大きな負担となりうるため、なるべく手数料が少ない金融機関を選ぶことが重要です。
iDeCoの手数料は以下のタイミングで発生します。
- 加入時
- 口座開設手数料は、口座の開設にかかる手数料です。
- 運用期間中
- 運営管理手数料は、毎月かかる手数料で、金額は金融機関によって変わります。
- 移管時
- 移管手数料は、転職や退職のため口座を移管する際に発生する手数料です。
- 受取時
- 振込手数料は、通常利用の口座に振込する都度発生する手数料です。
運用期間中や移管時の手数料は金融機関によって異なるため、事前に金融機関の各種手数料を比較するのをおすすめします。受け取り時までのトータルの手数料を比較した上でiDeCoでの運用を始めるのが良いです。
投資信託を利用する場合、運営管理費用(信託報酬)が発生します。なるべく運営管理費用(信託報酬)の低い投資信託先を選びましょう。
» iDeCoの手数料の種類と節約方法
運用知識が必要になる
iDeCoを始める前に基本的な投資の運用知識が必要です。下記の知識を身につけた上で効率よく資産運用をしましょう。
- 分散投資の重要性を理解する
- 運用商品のリスクとリターンを評価できる
- ポートフォリオの定期的な見直しをする
- 市場の変動に対する心構えを持つ
- 投資信託やETFの特徴を知る
- 長期的視点での資産運用計画を立てる
- 税制優遇を活用できる
iDeCoの加入資格
iDeCoの加入条件は日本国内に住む20歳以上60歳未満の公的年金制度に加入している人です。以下の人が該当します。
- 第1号被保険者(自営業者・フリーランスなど)
- 第2号被保険者(会社員・公務員など)
- 第3号被保険者(専業主婦(夫)などの被扶養者)
企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者でも、一定の条件を満たせばiDeCoに加入できます。海外在住の日本人は対象外です。
» iDeCoは何歳から始められるかを解説
iDeCoの掛金
iDeCoの掛金は毎月拠出することが義務付けられています。最低額は月額5,000円で、掛金の最高額は職業によって異なります。職業による掛金の違いは以下のとおりです。
- 自営業者・フリーランス:月額68,000円まで
- 会社員:月額12,000〜23,000円まで
- 公務員:月額12,000円まで
- 専業主婦(夫):月額23,000円まで
掛金は年1回変更できるため、ライフスタイルや収入の変化に応じて柔軟に調整できます。掛金は全額所得控除の対象となるため、節税効果が期待できます。
iDeCoで運用できる商品
iDeCoで運用できる商品は以下のとおりです。多様な選択肢があるため、個々の投資目標やリスク許容度に応じて選べます。
- 元本確保商品
- 投資信託
元本確保商品
元本確保商品は利息が少ないですが、元本が確実に保全されるため、安心して資産を運用したい方におすすめです。元本確保商品が市場の価格変動リスクから資産を守る仕組みを持っているためです。金融機関や保険会社が元本を保証するため、元本が減るリスクを心配する必要がありません。
元本確保商品には以下のものがあります。
- 定期預金:一定期間お金を預けることで、決められた利息を受け取れる
- 保険会社の年金保険:一定の保険料を払い込むことで、年金を受け取れる
元本確保商品は、長期的な運用によって利息の積み上げが期待できるため、資産を安全に増やしたい方にとって役立ちます。
投資信託
投資信託は多くの投資家から集めた資金をまとめ、プロの運用者が株式や債券などに投資する金融商品です。分散投資が可能で、リスクを抑えた運用ができる点が魅力です。定期的に分配金が支払われる投資信託もあり、安定した収入を期待できます。
投資信託の種類は大きく下記の4つに分けられます。
- 株式型
- 国内株式投資信託や海外株式投資信託などです。株式型はハイリスク・ハイリターンの商品です。
- 債券型
- 国内債券投資信託や海外債券投資信託があります。債券型はローリスク・ローリターンの商品です。
- 不動産投資信託型
- 不動産投資信託という上場投信に投資する投資新タウkです。国内不動産投資信託や海外不動産投資信託があります。不動産投資信託型はミドルリスク・ミドルリターンの商品です。
- バランス型
- バランス型投資信託は、株式型と債券型の両方、または不動産投資信託型を取り入れた投資商品です。
運用成績によって利益が出ることもあれば損失が出るリスクがあることも理解しておきましょう。投資信託には運営管理費用(信託報酬)、信託財産留保額などの費用がかかります。費用が低い商品がラインナップされている金融機関を選定しましょう。
» iDeCoの投資信託のラインナップ
iDeCoの始め方
iDeCoを始めるには、下記の手順で手続きを進めていきます。
- 金融機関を選ぶ
- 申請書類を準備する
- 申込み手続きを行う
金融機関を選ぶ
各金融機関が取り扱う商品の種類や手数料が異なるため、自分の投資スタイルに適した金融機関を選びましょう。具体的には下記のポイントを中心に複数の金融機関を比較します。
- 取扱商品の種類
- 手数料の比較
- 商品の運用成績や実績
- サポート体制や顧客サービス
- ネット銀行や証券会社のオンラインサービス
金融機関の信頼性や評判も大事な要素です。
申請書類を準備する
申請前に必要な書類をリストアップし、事前に準備しておきましょう。必要な書類は以下のとおりです。
- 基礎年金番号
- 銀行口座情報
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 企業年金連絡票(企業年金に加入している場合)
- 申込書(金融機関から提供されるフォーム)
- 収入証明書(必要に応じて)
- 既存の年金制度に関する情報(必要に応じて)
必要な書類を準備すると、iDeCoの運用開始の手続きがスムーズに進みます。
申込み手続きをする
iDeCoの申込み手続きは、以下のとおりです。
- 必要書類に本人情報を記入する
- 記入した書類を金融機関に提出する
- 金融機関が確認・審査する
- 国民年金基金連合会が最終確認し、登録を行う
- 開始通知を受け取る
全て完了すると正式にiDeCoの運用が開始されます。
まとめ
iDeCo(個人型確定拠出年金)は長期的な資産形成を目指すために有効な手段です。所得税・住民税の節税効果や運用益の非課税、受取時の税制優遇などを活用すれば、老後の資産形成に役立てられます。
ただし原則として60歳まで引き出せないことや元本割れリスク、各種手数料などのデメリットもあります。iDeCoに加入する際は自分のライフプランや資金計画を立てた上で、適切な金融機関や運用商品を選ぶことが重要です。